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2010 9月1日〜15日 復興のはじまり

 9月1日

日向市の農家12戸 6日から牛を導入

 宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫」問題で、JA日向(日向市)は1日、早期の経営再開を希望するワクチン接種農家を集めて会合を開いた。同市内の繁殖牛農家12戸が、6、7日に再開する延岡家畜市場(延岡市)で買い付け、新たに牛を導入することを決めた。

 日向市唯一の発生農家が観察牛を飼育中だが、12戸は遠隔地にあり消毒も徹底していることから、今月下旬の観察結果を待つ必要はないと判断した。今後、導入頭数や最終的な飼育規模を盛り込んだ経営計画を県家畜保健衛生所に提出する。

 宮崎市や西都市のワクチン接種農家も今月中旬以降の競りで買い付ける予定だが、県内の観察牛の検査結果が出るまで県が用意する施設に預ける方針。口蹄疫被害が集中した川南町などの県東部5町は、11月に一斉導入する意向を示している。

=2010/09/02付 西日本新聞朝刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/194762

豚の競り再開 宮崎県 4ヵ月ぶり

 宮崎県による家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の終息宣言を受け、全国屈指の畜産地帯・都城市の家畜市場で1日、豚の競りが再開した。同県内の家畜市場の競りは4月下旬から中止となり、牛は8月29日に再開している。

  この日、出荷され、競り落とされたのは、黒豚の子豚37頭、白豚の子豚24頭、成豚128頭。買い付けに来た肥育農家などは、鹿児島県と熊本県を中心に通 常よりやや多い21人だった。平均価格は特産の黒豚の子豚が1万7163円で、4月21日の前回に比べて2611円上昇。白豚の子豚も2569円上がっ た。成豚は7111円上昇するなど軒並みアップした。

 JA都城は「子豚は市場自体の数が少なく、宮崎県の競り中止で、農家の空き豚舎が増えていたのではないか。成豚は全国的な高値傾向が背景にある」とみている。

 黒豚の子豚9頭、成豚6頭を出荷した同市高崎町の薬師義弘さん(73)は「予想以上の高値がついた。口蹄疫で胃の痛くなる日々を過ごしてきたが、少し救われた気分だ」と喜んでいた。

=2010/09/02付 西日本新聞朝刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/194750

9月2日

口蹄疫可能性の牛1頭を確認 宮崎県えびの市

 宮崎県は2日、同県えびの市にある乳用牛肥育農場で、舌の粘膜がはがれ、若干の発熱がある牛1頭が見つかり、口 蹄疫感染の可能性が否定できないとして、採取した検体を動物衛生研究所の関連施設(東京)に送付したと発表した。同日夜には、遺伝子検査の結果が判明する 見込み。

 県によると、1日午前11時半ごろ、乳用牛400頭を飼育する農場のかかりつけの獣医師が、都城家畜保健衛生所に通報。早期判定のため農林水産省に症状の写真を送ったが、水膨れなど口蹄疫の典型的な症状は確認できず、感染の有無を判断できなかったという。

 これを受け、2日に開催を予定していた都城市の家畜市場の競りと、2日から5日にかけて予定していた小林市の子牛の競りが一時中止となった。

 えびの市は県西部に位置し、熊本県や鹿児島県と隣接。同市では4月から5月にかけて、農場計4カ所で感染疑いの牛や豚が確認され、600頭以上が殺処分された。

2010/09/02 13:28   【共同通信】 http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010090201000410.html

口蹄疫疑い 検査シロ えびので通報 宮崎県内、牛競り中止

 宮崎県は2日、同県えびの市の乳牛肥育農場で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」に 似た症状の牛1頭が見つかり、遺伝子検査をした結果、感染疑いがないことを示す陰性だったと発表した。この問題を受け、小林、都城両市の牛競り市は同日急 きょ中止されたが、小林は3日に再開、都城も同日に再開日程を決定する。

 県畜産課によると、類似症状の牛が見つかった農場では、乳牛など 約400頭を飼育。県家畜保健衛生所が1日、農場のかかりつけ獣医師から連絡を受けて立ち入り検査した。牛は同日発熱、舌がただれていたが、口蹄疫特有の 水疱(すいほう)はなかった。2日は熱が下がる一方、舌の異常は広がったため、遺伝子検査で確認することにした。 県は、一緒に飼育する4頭も含め計5頭分の検体を動物衛生研究所(東京)で調べ、いずれも「シロ」と確認した。

 同県の口蹄疫は4月20日、国内で10年ぶりに都農(つの)町で感染疑いが判明し、川南(かわみなみ)町など県東部で爆発的に拡大。発生農場は、えびの市の4例を含めて292例に上り、県内で飼育する牛、豚の約4分の1に当たる約29万頭が殺処分された。

 新たな感染疑いがなくなったことから、県は家畜の移動・搬出制限を7月27日に全面解除。県内の全家畜の目視検査、残された排せつ物の無害化処理をした上で、8月27日に終息宣言した。同29日には高千穂町を皮切りに家畜市場を再開、復興へスタートを切った。 東国原英夫知事は「競りを一時中止し、関係者の皆さまには大変ご迷惑をお掛けしました。引き続き、畜産農家の皆さんはもとより、関係者の皆さんには防疫対策の徹底をお願いします」とのコメントを発表した。

 =2010/09/03付 西日本新聞朝刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/194958

「エース級雌牛」に期待 超低温で卵子保存 国内初、実用化に成功 佐賀県畜産試験場

 佐賀県畜産試験場(佐賀県武雄市)は2日、国内で初めて、牛の卵子の超低温保存技術の実用化に成功した、と発表した。牛の精液や受精卵の保存技術 は確立されているが、細胞が大きい卵子の保存は実用レベルに達していなかった。遺伝的に優れた能力を持つ雌牛の卵子の長期保存に道を開くもので、精液を提 供する種牛と同じように「エース級雌牛」の登場も期待される。
超低温保存技術は「ガラス化保存法」と呼ばれ、特殊な溶液に卵子を漬け、超低温の液体窒素で急速冷却して保存する技術。今回、同試験場は、溶液濃度を上げ、ごく微量にすることで冷却速度を速めたという。

 実証研究では、雌牛の卵巣から採取した未成熟卵子をガラス化保存。約1週間後に解凍して体外受精を行い、受精卵もガラス化保存した後、7頭の雌牛の子宮に移植。今年6−7月に3頭の子牛が出生した。卵子、受精卵ともにガラス化保存し、出生につながったのは国内初という。

  卵子の保存は、多くの研究機関が実用化に向けて実証実験をしているが、同試験場によると、ガラス化保存した卵子がきれいな受精卵になる確率は5−10%以 下。だが同試験場の成功率は12−15%で、その後の受胎率も57.1%(妊娠中の1頭含む)と高く、「実用化のレベルに達した」としている。

 同試験場は「優秀な雌牛の卵子を保存することで、交配の選択肢が多様になり、口蹄疫(こうていえき)など牛が大量に殺処分されるような場合も、保存精液との人工授精が可能で、早期の産地復興につながるのではないか」としている。

 酪農学園大(北海道江別市)の堂地(どうち)修教授(応用家畜繁殖学)は「家畜生産への貢献だけでなく、希少な野生動物の種の保存への応用や、将来の再生医療につながっていく可能性もある」と指摘している。

 =2010/09/02付 西日本新聞夕刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/194890

復興基金計画を変更  公共事業100億円減 難色の国に配慮

 東国原知事は、国に300億円の拠出を求めている口蹄疫の復興基金について、当初は200億円としてい た公共事業費を100億円に減額する方針を 明らかにした。減額分は福祉や地域を活性化するソフト事業などに充てるという。復興財源の満額確保のため、公共事業に難色を示す国に配慮した。

 西都市で2日に開かれた県民フォーラムで明らかにした。知事は、基金総額330億円のうち、300億円 を国に求め、うち200億円を経済対策として公共事業に充てる方針を示しているが、国から回答はないという。 これについて、「今の政権は『コンクリート から人へ』ということ。公共事業に難色を示す。理解がない」と不満を吐露。「被災地域に300億円ぐら いの基金が積めなかったら、この国はどうかなと思う」とした上で、公共事業枠を減額した計画を作り直し、国に示したことを明らかにした。

 フォーラムには家畜を殺処分された宮崎、西都市、新富、高鍋町の畜産農家ら約200人が出席。復興支援の施策のほか、知事の再選出馬に関する質問が出たが、知事は「考え中。熟慮して、県民の皆さんに広く意見を賜りながら、ちょっと時間をいただいて決めたい」と述べた。

9月3日

牛肉輸出再開に向け検査 農水省、宮崎の口蹄疫で

 農林水産省は3日、宮崎県の口蹄疫問題で事実上停止している牛肉輸出の再開に向け、6日から同県で家畜にウイルスが潜伏していないかどうかを調べる清浄性の確認検査を実施する、と発表した。

 宮崎県では7月4日以降、新たな発生は確認されていない。今回の検査で口蹄疫問題の終息をあらためて裏付け、10月上旬に動物の病気を扱う専門機関、国際獣疫事務局(OIE)に「清浄国」への復帰を申請する。

 検査は牛を飼育する農家150戸が対象。口蹄疫の症状が出ていないか目視検査するほか、血液内にウイルスの抗体があるかどうかを調べる。今月下旬までに終了する予定。

 日本は4月に宮崎県で口蹄疫が発生したため、OIEが「汚染国」と認定。一時牛肉の輸出が全面ストップした。その後、香港、マカオ向けは双方との協議を経て再開にこぎ着けている。

2010/09/03 20:47   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010090301000824.html 

エース級種牛の精液採取を再開 口蹄疫終息で宮崎県

 口蹄疫の終息を受け、宮崎県は3日、西都市の牛舎に避難させていたエース級種牛5頭のうち3頭について、人工授精用の精液採取を再開したことを明らかにした。

 県によると、「美穂国」「勝平正」「安重守」の3頭から2日に精液を採取。ストロー内に凍結保存するため高鍋町の県家畜改良事業団に運んだ。県は来年1月以降、この3頭を、もともとの飼育場所だった同事業団に戻す。 一緒に避難した残り2頭は、リスク分散のため高原町の事業団関連施設に移して飼育する。 県は7月末の非常事態宣言解除を受け、農家に自粛を求めていた牛の人工授精再開を認めた。現在、同事業団は1年分に当たる凍結精液約15万本をストックしている。

 宮崎県は計55頭の種牛を所有していたが、最も優秀だった「忠富士」を含め50頭を殺処分。残り5頭から採取できる量は、以前と比べ年間で約2割減る見通し。

2010/09/03 19:37   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010090301000772.html
 

再び牛と暮らす日を 宮崎・口蹄疫 3頭殺処分の児童養護施設 慰霊碑に再生誓う

 家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の感染拡大によって、宮崎県内で処分された牛や豚は約29万頭に及ぶ。その中に、木城町椎木の児童養護施設 「石井記念友愛園」が飼う牛3頭がいた。家庭の事情で親と離れて暮らす子どもたちが、手塩にかけて育ててきた「家族同然の命」だった。悲しみの別れから2 カ月半。子どもたちは園の建てた牛の慰霊碑に手を合わせ、再び牛と共に暮らす日を夢見ている。

 別れの6月20日は涙雨が降った。子どもたちは無言で3頭を見送った。発生農場から10キロ圏内にある園の家畜は、法に基づきワクチン接種と殺処分の対象とされた。

 「何の罪もない命が奪われた」。児嶋草次郎園長(61)は唇をかむ。園は「児童福祉の父」と称される地元の篤志家石井十次(故人)の理念を受け継ぎ、戦後すぐから恵まれない子どもたちを受け入れてきた。 牛は、戦後一貫して園の運営に不可欠な存在であり続けた。牛の堆肥(たいひ)で野菜を育て、子牛を売り、子どもたちの旅行費などに充てる。朝晩の牛舎の掃除や堆肥の入れ替えをし、子牛の出産にも立ち会う。牛は命の大切さを学ぶ「生きた教材」の役割も果たした。  

 牛を通じて、家族のきずなを取り戻した生徒もいる。高校3年の黒木誠君(17)=仮名=は、幼いころ別れた母親と、中学生のとき再会した。10年以上も音信不通で、向き合い方に戸惑う親子を牛がつないだ。母は牛を飼う畜産農家だった。 盆や正月に母の元を訪れた黒木君は、一緒に牛の世話をした。怠けると母は本気でしかった。放牧中の牛を上手に捕まえて畜舎に戻したときには、褒めてくれた。「牛の仕事があったから話をでき、本音を言い合えるようになった」 牛3頭を見送る前日、丁寧に体を洗い、畜舎にたっぷりワラを敷き詰めてやった。母との作業を思い起こした。今、牛舎は空だ。「鳴き声が聞こえない。寂しい」と黒木君が漏らした。

 園は8月、裏山に牛たちのしっぽの毛を埋め、慰霊碑を建立した。その後、8月27日に宮崎県が口蹄疫の終息を宣言。深いつめ跡が残る県内で本格復興が始まる。  「また、きっと牛に会えるよ」。児嶋園長は、子どもたちにそう約束した。今までよりも牛と触れ合いやすいように古い畜舎を改築し、飼育を再開したいと考え ている。来年の命日のころには、慰霊碑の傍らに白いアジサイが咲くだろう。そばで新しい牛の鳴き声と、子どもたちの歓声が聞こえるに違いない。児嶋園長は そう信じている。

 =2010/09/04付 西日本新聞夕刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/195351

口蹄疫:埼玉から自転車行脚、小林さんが宮崎入り 各地のメッセージを知事に /宮崎

 ◇「負けないで」

 口蹄疫の被害で苦しむ県を応援しようと、埼玉県川口市の自宅から自転車で旅を続けてきた明治大4年の小林大地さん(22)が宮崎市に到着した。県庁の東国原英夫知事を訪ね、旅先で出会った人たちに書いてもらった175通の応援メッセージを手渡した。

 インターネットなどで口蹄疫被害の深刻さを知り、学生時代最後のチャレンジにと今回の旅を思い立った。自転車に寝袋などを積み、7月29日に出発。1日80キロほどのペースで進み、約1カ月かけて到着した。 「古い県庁のたたずまいを見た時、ようやく目的地にたどり着いたことを実感した」と小林さん。野宿もしたが、毎日更新するブログやツイッターの読者の自宅などに泊めてもらうこともあったという。 メッセージは「おいしい宮崎牛をもう一度食べたい!」「日本の食を支えてくれている宮崎。これからもよろしくお願いします!」など。知事は「全国 各地の皆さんから応援メッセージをお届けいただき、大変ありがたい」と感謝した。メッセージの一部は宮崎市のみやざきアートセンターに展示される予定。

 小林さんは「今度はブログで宮崎観光の魅力を伝えたい」と話している。小林さんのブログはhttp://blog.canpan.info/bicyclecross、ツイッターアカウントは@bicyclecross。【中村清雅】

  毎日新聞 2010年9月4日 地方版 http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20100904ddlk45040499000c.html

9月4日

「宮崎の宝無事守った」種牛2頭避難先から移動 畜舎撤去、精液採取へ

 口蹄疫(こうていえき)問題で西都市に避難していた種牛5頭のうち、2頭が4日、避難先を離れた。同日午前、2頭が去ったばかりの避難先畜舎を訪ねた。(帆足英夫)

 西都市役所から北西に国道219号を車で約12キロ上り、さらに脇道に入って山道を行くこと約15キロ。同市尾八重(おはえ)の畜舎敷地入り口に 設けられた消毒液プールを車で通過すると、真っ白の防疫服を来た約10人の姿が見えてきた。牛たちの世話を続けてきた県家畜改良事業団の職員たちだ。

 2頭を飼育していた畜舎内の檻(おり)は約3メートルの間隔を置いて並び立っていた。縦、横が各4メートル、高さが約1・9メートル。感染リスク を分散させるため、西都市に避難している5頭のうち、「福之国(ふくのくに)」と「秀菊安(ひできくやす)」は、ほかの3頭と二手に分けられて5月25日 からこの畜舎に入った。 二つの檻の間には、使い込まれた消毒液用タンクがあった。避難施設の責任者、吉牟田健一・事業団事業部長(48)は「朝晩の畜舎消毒は欠かしたことがない」と言い、畜舎に入るときは長靴を取り換えるなど、事業団職員は、防疫に細心の注意を払ってきたという。 檻への太陽光直射を防ぐ遮光ネットや、大型扇風機も残っていた。夏の盛りだっただけに、職員が2頭の体調を考え、暑さ対策にも気を遣っていたことをうかがわせる。 種牛という「県の宝」を守るという責務の重さに加え、防疫服を着込んで汗だくになって行う作業。体重が7キロ減った職員もいる。

 この日、職員たちは2頭をトラックに乗せた後、「頑張れよ」と声をかけながら、手を振って見送った。吉牟田部長は「無事に守ることができて、本当にほっとしている」と話した。 職員たちは畜舎の天幕外しなどに取りかかった。畜舎設備の撤去は今週中に終える。 ほか3頭の「美穂国(みほのくに)」「勝平正(かつひらまさ)」「安重守(やすしげもり)」は、ここから約500メートル離れた西都市の山中の畜舎で避難を続けているが、2日から精液採取が始まっている。年末をめどに高鍋町の事業団本所に戻る予定だ。 2頭の精液採取も今週から始まる。県内の畜産農家が必要とする精液ストローは、支障なく供給できるという。 「地元の皆さんなど多くの人の支えで、牛たちを無事に送り出すことができた。これからも前向きに進んでいきたい」。事業団の川田洋一常務(60)は、空っぽになった畜舎を見やりながら力強く語った。

9月6日

種牛殺処分の補償金、国が却下 農家、冷ややかな見方も

 口蹄疫(こうていえき)の感染拡大に伴い、県所有の種牛計50頭が殺処分されたことに絡み、県が国に対し、この50頭分の手当金(補償金)を求め、国か ら断られていたことが関係者の話で分かった。東国原英夫知事が「宝であり財産」とまで評した県所有種牛は当初、県の外郭団体の県家畜改良事業団(高鍋町) でまとめて管理しており、同事業団の施設内で感染疑い例が出るなどしたため、殺処分された。畜産農家などからは「そもそも自己責任だ」といった批判も出て いる。

 県所有種牛は当初、55頭いた。同事業団で1カ所で飼っており、4月20日に都農町で口蹄疫の発生が確認されて以降、感染が拡大したため、県は国と協 議。特に優秀な6頭を選び、5月13〜14日に、家畜などの移動制限区域内から特例で約20キロ離れた西都市内の山中へと避難させた。 しかし、避難させた6頭のうち1頭が遺伝子検査で2回陽性となり、殺処分に。同じ牛舎に入っていたほかの5頭も、本来は殺処分となるはずだったが、再び特例で経過観察とし、生き延びさせた。 一方、「取り得る限りの最大の防御」(県幹部)を敷いていた同事業団でも症状がある種牛が見つかり、残った49頭もすべて殺処分となった。

 手当金は家畜伝染病予防法で定められている。農林水産省によると、手当金には、家畜の伝染病が発生した際、隠さずに届け出ることを奨励する意味合いがあ るといい、同省の担当者は「県の場合は、手当金が出ないから届けないということは想定できない」などとし、交付は難しいとしている。

 県が手当金を求めたことについて、ある畜産農家は「県の種牛には税金が使われている。民間とは違うし、補償を求めるのはおかしいのでは。それに、これま で精液を売って稼いできたお金もある」と話している。生き残った5頭のうち、最も高齢の「福之国」(13歳)の1年間の精液販売収入は、推計で約1億5千 万円にもなる。

 別の畜産関係者は「最後まで口蹄疫を出さなかった民間の農家もあるのに、県の施設で出したのは危機管理としてどうか。自己責任ではないか」と厳しく指摘する。

 県は現在、新しく種牛になる候補の選定を進めており、交配費用やエサ代などの関連経費について国に支援を求めている。また、口蹄疫からの復興のための基金を設けるにあたり、国に公共事業費100億円分を含む300億円の拠出も要望している。(石田一光)

 2010年9月6日 asahi.com  http://mytown.asahi.com/areanews/miyazaki/SEB201009050021.html

口蹄疫 殺処分農家が飼育再開 日向市の10戸

 家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の殺処分で家畜を失った宮崎県日向市の畜産農家の一部が6日、子牛の飼育を再開した。殺処分した農場が経営を再開したのは、県内で初めて。家畜が全滅した川南町など5町は、11月の経営再開を目指している。

  飼育を再開したのは、ワクチン接種によって繁殖牛や肥育牛を殺処分した日向市内の10戸。同県延岡市で再開された競り市で子牛を買い付け、農場に運んだ。 6月に11頭を殺処分した繁殖牛農家の谷口峰久さん(59)は雌牛1頭を購入し、念入りに消毒した牛舎に入れた。順調ならば来夏に子牛が生まれる予定で 「牛の声がせずに寂しかったが、これで活気が戻る。処分した牛の分もかわいがりたい」と話した。

 宮崎県は同日、国際獣疫事務局(OIE)に口蹄疫の清浄国復帰を申請するため、牛飼育農場での清浄性確認検査を始めた。県全域の150戸を対象に、全頭を目視、一部を抗体検査し、異常がなければ、農林水産省が10月上旬に申請する。

 この日は県家畜保健衛生所職員が都城市と西都市、国富町の計7戸を訪れ、牛514頭の健康状態を確認した上で、計148頭から抗体検査のための血液を採取した。検査は13日までで、9月下旬に結果判明の見込み。

 =2010/09/07付 西日本新聞朝刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/195787

口蹄疫「清浄国」申請へ検査 牛農家150戸で開始

 口蹄疫(こうていえき)問題で、県は6日、海外への牛肉などの輸出再開に向けて、国際獣疫事務局(OIE)に「清浄国」として申請するための家畜の検査を始めた。県内150戸の牛農家を対象に、抗体検査と目視検査で安全性を確認する。(関屋洋平)

 発生農家周辺の家畜は、移動制限の解除前に抗体検査や目視検査が行われ、終息宣言前には、県内全域で目視検査をして異常がないことを確認しているが、OIEへの申請に際して、改めて安全性を立証するため、農林水産省と協議して全域で抗体検査をすることにした。

 豚よりも感染に敏感な牛が対象で、仮に感染した牛がいても、統計上、ほぼ確実に見つけることが可能なサンプル数として、農水省が150戸を算出。 殺処分ですべての牛と豚がいなくなった県東部の5町を除き、これまで抗体検査を受けていない農場を対象に、飼育規模に応じて30頭を上限に検体を採取、全 頭を目視検査する。

 6日は西都市と都城市、国富町の7戸で検査を実施。和牛約60頭を飼っている国富町須志田の牛農家には、同日朝、宮崎家畜保健衛生所の家畜防疫員2人が訪れ、牛の口の中やひづめなどを目視で検査した後、21頭の検体を採取した。

9月8日

口蹄疫復興 都城で子牛競り再開、全国から購買者

 口蹄(こうてい)疫問題で、競りが中止されていた国内トップ級の畜産地帯・都城市の都城地域家畜市場で8日、子牛の競り市が再開された。雌、去勢計約 430頭が出荷され、曽於、出水市や長野県など全国各地から、前回の4月を大幅に上回る購買者が訪れた。競りは11日までの4日間。都城市や三股町から計 約1900頭が出荷される予定。
競りは、家畜や車、関係者の消毒を徹底した上で再開。
JA都城の新森雄吾組合長は「口蹄疫と闘ってきた生産者の明るい顔を見て安心した。全国から来てもらえて感激だが、再生はこれからが正念場。一体となって頑張りたい」と述べた。 
 2010/09/08 南日本新聞 http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=26429

口蹄疫基金県が別案

 県が国に拠出を求めている口蹄疫の復興基金について、南九州の口蹄疫復興資金として国に3000億円を用意してもらい、運用益200億円を充てる 案を県が国に提案していることが分かった。120億円の取り崩し型基金との併用で、実現すれば総額350億円規模になる見通しという。

 県民政策部によると、3000億円の年利を1%と想定して10年間にわたって運用、300億円の運用益を得る。このうち200億円を県の復興に充てるという。

 県は国に対して、取り崩し型の基金に300億円の拠出を要望しているが、国は過去の災害基金に取り崩し型がないことから難色を示しているという。このため、県は8月28日、運用と取り崩しを併用する新たな基金案を国に提案。従来の案と併せ、国に検討を求めている。

 県は単独で基金に充てる額として、30億円を一般会計補正予算案に計上している。

特産品開発で再出発 口蹄疫被害の畜産関係者2人

 宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」で仕事を失った畜産関係者2人が、高鍋町など5町の商工会などがつくる「東児湯五町連携協議会」の 臨時職員として新たな生活を始めた。同町の養豚農家岐本壮平さん(34)と、元養豚会社従業員深沢真由実さん(26)。2人は高鍋町の特産品開発を担当、 雇用期限の来年3月までに試作する計画。「農場に戻る日に備えて視野を広げたい」と張り切る。

 同協議会は7月、口蹄疫からの復興を目指して設立。農場の元従業員など離職者の雇用創出の一環として8月に20人を雇った。競争率は5倍を超える難関だったが、2人は若さや畜産への熱意が評価された。 

 岐本さんは19歳で実家の養豚農場を継いだ。2年前に父観平さんを亡くして管理が行き届かなくなり、病気で死ぬ豚が相次いだ。獣医師や先輩から必死に技術を学び「どん底から抜け出たところ」を、口蹄疫が襲った。父の形見でもある約560頭を失った。 落ち込む気持ちを「豚がいない今しかできないことに挑戦しよう」と奮い立たせ、面接を受けた。農場はこの仕事を終えてから再開する。「畜産商品のPR方法を学びたい。給料をためて再開資金も作りたい」と話す。

  深沢さんは川崎市出身。大学で畜産を学び、高鍋町の養豚会社に就職した。育ててきた豚が殺処分された日は「頭の中が真っ白になった」。同時に仕事も失った が、「再建したら必ず呼び戻すから」と、社長に応募を勧められた。「人と付き合う機会が少なかったので新鮮。消費者の生の声を聞きたい」という。

 2人がつくるのは地元産品を生かしたハム・ソーセージ、ドレッシング、スープなど。仕事を始めて2週間、あいさつ回りをしながら構想を練っている段階だ。成果は11月の東児湯5町の鍋合戦などで披露される。

 =2010/09/09付 西日本新聞朝刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/196284

 

九州初の口蹄疫防疫演習 県内発生想定、120人参加 豊後大野市

 家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の県内発生を想定した防疫演習が8日、豊後大野市三重町の県立農業大学校で行われた。県や豊後大野市職員ら 約120人が参加し、九州・山口各県の職員ら約110人が視察した。県によると、口蹄疫発生を想定した大規模な防疫演習は九州で初めてという。

 県の防疫ガイドラインに沿って、県内発生から家畜の殺処分、埋却までの作業が円滑に進むかを確認し、問題点を洗い出すのが狙い。

  午前5時30分、「乳牛3頭に口蹄疫症状が確認された」との想定で演習を開始。県総合対策本部幹事会が埋却方針を決め、作業員を招集。大学校の敷地内に縦 約10メートル、横約4メートル、深さ約4メートルの穴を重機で掘り、飼料袋でつくった模擬家畜6頭分を埋めた。宮崎県で家畜の殺処分を行った獣医師ら職 員4人も評価チームとして参加。演習は午後3時半ごろに終わった。

 県農林水産部の森下幸生審議監は「殺処分班の到着の遅れや情報伝達の不備など幾つかの問題点はあったが、総合的には緊張感を持った訓練が出来た」と総括し、演習結果を踏まえて防疫ガイドラインを見直す考えを示した。

 =2010/09/09付 西日本新聞朝刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/196283

9月9日

口蹄疫で離職292人 高鍋管内最多の165人

県は9日、口蹄疫の影響で292人が離職、地域別ではハローワーク高鍋管内が最多の165人(8月31日現在)だったことを明らかにした。
同日あった9月定例県議会代表質問で、水間篤典議員(新みやざき)の質問に渡辺亮一商工観光労働部長が答えた。
渡辺部長は、県の対策として「畜産業からの離職者を雇用した防疫対策や、東児湯地域の地場産品の販売拡大事業を実施した。今議会には口蹄疫発生地域の離職者の職業訓練に必要な予算の増額を提案し、国には緊急雇用基金の追加交付をお願いしている」と答えた。

 2010年09月10日 宮崎日日新聞 http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=30960&catid=74&blogid=13

口蹄疫で県の基金半減「財政調整」、年度末46億円に

 県は9日、貯金に当たる財政調整基金が今年度当初の約116億円から、年度末に約46億円に減るとの見通しを明らかにした。口蹄疫対策に伴う取り崩しが要因という。

 県議会代表質問で、水間篤典議員(新みやざき)の質問に東国原知事が答えた。 答弁によると、県は口蹄疫の発生から9月議会まで、口蹄疫対策費として総額約884億円を計上した。このうち、国の補助金などを除いた県の拠出は約167億円で、うち約70億円は財政調整基金を取り崩して充当したという。 東国原知事は「来年度以降の予算編成が難しくなる。特別交付税などで支援してもらうよう国に要望していく」と述べた。

民間農場にも観察牛 宮崎・口蹄疫 被害最大の川南町

 家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の被害が最も大きかった宮崎県川南町で13日、農家の畜産再開に向け、ウイルスが残存していないかを確かめ る観察牛の飼育が始まった。殺処分で家畜が全滅した県東部5町では、県立農業大学校(高鍋町)など一部の県施設で既に観察牛を飼育しているが、一般農場で は初めて。

 川南町の観察牛は生後約7カ月の乳牛計33頭。感染した20農場に導入された。観察牛が引き渡されたJA施設では、農場に向かうトラックを職員が入念に消毒した。2頭を受け取った和牛繁殖農家甲斐栄さん(51)は「今日から新たな気持ちで頑張りたい」と話した。

 県は今後、5町の約150農場に順次、観察牛を導入して抗体検査などを行い、11月の飼育再開を目指している。

=2010/09/14付 西日本新聞朝刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/197268

【口蹄疫】10月10日に経営再開へ 被害多発の宮崎県東部3町

 口(こう)蹄(てい)疫終息を受け、感染被害が多発した宮崎県東部5町のうち高鍋、木城、新富の3町が、農場の経営再開時期を10月10日とする方針を決めたことが14日、分かった。地元のJA児湯によると、3町の被害農家約150人が13日に会合を開き、当初11月との案が出ていた再開時期を前倒しすることで一致した。

 3町では今月17日に、農場計11カ所でウイルスの無害化を確認するための「観察牛」導入を予定。10月8日までに抗体検査と目視検査が終わるのを受け、速やかに経営を再開する。

 JAの担当者は「すでに競り市で子牛を購入し、施設で預かってもらっている農家もいる。隣接する西都市が9月末に経営再開するので、早く飼育したいとの声が多い」と説明している。

  2010.9.14 21:24 MSK.sankei http://sankei.jp.msn.com/life/body/100914/bdy1009142125004-n1.htm

全国初、路面に特殊塗料コート アポロ興産、GSで口蹄疫対策

路面に特殊塗料を吹き付ける作業員=島原市有明町
 島原市や長崎市などでガソリンスタンド(GS)を展開するアポロ興産(島原市、馬渡清光社長)は、島原市有明町のGSで、口蹄(こうてい)疫などの防疫対策を施した特殊塗料を路面にコーティングし、試験的な運用を始めた。全国でも初めての取り組みという。
同社によると、特殊塗料は消石灰を水性樹脂で溶いたもので、水にぬれると消石灰が徐々に表面にしみ出す。消石灰は空気に触れると抗菌効果が薄れる恐れもあるが、この塗料は長期間、高いアルカリ性を保てる上、雨が降っても流れないなどの特長がある。
鹿児島県のメーカー「福元技研」が2年前から開発に着手。鹿児島大などが参加する鹿児島TLOを通じて特許を申請している。
島原半島は県内有数の畜産地帯で、畜産関係車両が多く往来する。アポロ興産は、国内外で万一、家畜伝染病が発生した場合に備え、特殊塗料の導入を決めた。福元技研と連携し、最も効果が上がる状態などを検証。将来は、畜産農家や飼料会社に同塗料の普及を目指す。
有明町のGSでは11日夜、4台ある給油機そばの路面に同塗料をコーティングした。馬渡社長は「ガソリンの単価競争が激しい中、地域に貢献し、付加価値を持ったGSにしたい」と話している。

口蹄疫の通報遅れに罰則も 検証委が中間報告

 宮崎県で発生した家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)に関する国や自治体の対応などを調査している農林水産省の口蹄疫対策検証委員会は 15日、国による防疫措置の強化などを盛り込んだ中間報告をまとめた。初動の遅れが感染拡大につながったことから、通報が遅れた自治体や農家には助成金の 減額も含めた罰則を科すことを検討すべきだと提言した。

 感染拡大の原因については、国と自治体との役割分担の不明確さや連携不足を指摘した。宮崎県の対応は「日常的な予防や初動対応を含めて不十分なところが多かった」と強調。「県が自らの役割を十分認識していなかった」と断じた。 感染拡大を阻止する措置として、健康な家畜でも予防的に処分するため家畜伝染病予防法の改正を提起。その場合は農家への経済的補償を盛るべ きだとした。保有家畜頭数に応じた埋却地確保を前提に、畜産業の規模を定める必要性も打ち出した。感染が疑わしい家畜が出た場合の具体的通報ルールづくり も促した。 都道府県には農場の所在地や家畜の種類、飼養頭数、管理状況の詳細な把握を要請。生産者への衛生面の指導を怠った自治体には財政面で罰則を 科すよう求めた。衛生管理の徹底に向け、農家への研修の開催や管理状況の報告、家畜防疫員による定期的な立ち入り検査を実施すべきだとした。 ただ、今回の中間報告は国の責任のとり方には触れておらず、今後の議論となる。 同検証委は弁護士や学者、獣医師などで構成。10月末にまとめる最終報告を受け、農水省は来年1月の通常国会に家伝法改正案を提出する。 宮崎県も独自の検証委員会を設けており、10月にも報告がまとまる予定で、国側の批判に対する反論も予想される。

 2010/9/15 21:25 日本経済新聞 http://www.nikkei.com/life/news/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E1EA8DE3E7E2EBE0E2E3E29180EAE2E2E2;da=96958A88889DE2E0E3EAEAE7E6E2E0E3E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

口蹄疫、国・自治体で連携不足=宮崎県の対応「不十分」−農水省中間報告

 宮崎県で爆発的に流行した口蹄(こうてい)疫の問題で、農林水産省の外部有識者による「口蹄疫 対策検証委員会」は15日、国や県の防疫対応に関する中間報告をまとめ、公表した。報告では、今回の対応の問題点として「国と県や市町村との役割分担が明 確でなく、連携も不足していたのではないか」と指摘。特に宮崎県の対応には「日常的な予防や初動対応を含め不十分なところが多かった」と批判した。
感染拡大の要因に関連し、県が農場の所在地や家畜の頭数などの情報収集を普段から行っていなかったことが「初動対応の遅れや発生拡大につながったのではな いか」との見方を提示。また、最初に感染例が発表された4月20日以前に、10戸以上の農場にウイルスが侵入していた疑いがあることを踏まえ、獣医師や農 家を含む連絡の遅れも挙げた。

 (2010/09/15-20:00)時事通信 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201009/2010091500526

口蹄疫 宮崎県の対応批判 農水省検証委 中間報告 「役割認識が不十分」

 宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、国や県の防疫対応に問題がな かったかを調べてきた農林水産省の口蹄疫対策検証委員会は15日、県が農場の所在地や家畜の種類、頭数などの情報を把握していなかったことが初動対応の遅 れや発生の拡大につながったなどとする中間報告をまとめた。10月中に最終報告をまとめる方針。

 県の対応について検証委は「日常的な予防 や初動対応を含めて不十分なところが多く、原因としては、県が自らの役割を十分に認識していなかったことが大きい」と指摘。衛生管理基準が高いはずの県の 試験場や県家畜改良事業団で感染が発生したことも問題視し「(施設関係者の消毒体制など)基準の内容自体も不十分だったのではないか」と苦言を呈した。

  国についても、都道府県や市町村などとの連携不足や、オーストラリアなどと比べ空港や港での国境措置が不十分だったことを問題点に挙げた。今後の改善方向 として、国と都道府県などの役割分担を明確にし、国の責任で防疫方針を策定、改定するよう要求。早期発見、早期通報を促すため通報遅れへの罰則の検討や、 殺処分と埋却の作業マニュアル、畜産経営に関するルールの策定を提言した。

 また、初例確認後すぐに専門家を現地に常駐させるほか、獣医師 などの緊急支援部隊を派遣するなど都道府県の対応を支援する必要性にも言及。今回、感染拡大を防ぐため実施した予防的殺処分については、経済的な補償の法 的裏付けがなく農家の同意を得るのに時間がかかったとして「経済的補償も含めて予防的殺処分を家畜伝染病予防法に明確に位置付けるべきだ」と法改正を求め た。

=2010/09/15付 西日本新聞夕刊= http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/197644

口蹄疫:国からの措置額、77億円が不明確−−県予算 /宮崎

 県は14日、口蹄疫対策のためにこれまで計上した予算884億円のうち、77億円について国からの措置額が明確でないとの認識を示した。

 県議会一般質問で中野広明議員(自民)の質問に稲用博美総務部長が答えた。

 現時点で確実に歳入が見込まれるのは、国庫補助金などの特定財源による717億円。残る一般財源167億円のうち20億円を企業局から借り入れ、さらに殺処分対象の家畜への手当金で70億円が特別交付税で措置される。 脆弱(ぜいじゃく)な財政基盤に加え77億円の見通しが立っていない現状に、稲用部長は「確実に措置いただくよう国に要望したい」と述べるにとどまった。

 毎日新聞 2010年9月15日 地方版 http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20100915ddlk45040322000c.html

口蹄疫「宮崎県、平素の情報収集なかった」 検証委指摘

 宮崎県で流行した家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)に対する行政の対応などを検証する口蹄疫対策検証委員会は15日、農林水産省で会合を開き、中間報 告をまとめた。今回の問題点として「県の情報収集が平素から行われていなかったことが、初動対応の遅れや発生拡大につながった」と指摘した。宮崎県が県の 種牛を特例で生存させたことについては「民間種牛の扱いの混乱の元になるなど、問題だった。種牛は事後の特例的な扱いを一切認めず、対応策を検討すべき だ」と述べた。

 検証委は農水省が設置し、家畜伝染病の研究者や弁護士らで構成。8月からこの日までに会合を7回開いた。 通報や殺処分の遅れ、国と宮崎県、市町村の連携不足などに加え、県の情報収集不足を指摘。県が農場の所在地や家畜の種類、頭数を把握していなかったため、消毒などの防疫作業が遅れたという。

 農場の衛生基準が不十分で、十分に守られていなかったとも述べ、「バイオセキュリティーレベルが高いはずの県の試験場、県家畜改良事業団、(JA宮崎)経済連でも感染が発生したことは問題」とした。

 一定区域の全家畜を対象にした予防的殺処分については「経済的な補償の法的裏付けがなく、合意を得るのに時間がかかった。今後は補償も含む殺処分を家畜 伝染病予防法に明確に位置づけておくべきだ」と提言した。さらに改善策として、家畜防疫員の定期的な農場立ち入り検査の実施▽通報が遅れた場合のペナル ティー——などを挙げた。

2010年9月16日2時34分 朝日新聞 http://www.asahi.com/national/update/0916/TKY201009150500.html

口蹄疫検証委 感染拡大防止へ提言 強制調査など国の権限強化

 宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で国や県の対応が適切だったかど うかを調べている農林水産省の口蹄疫対策検証委員会は15日、中間報告をまとめた。発生時には国が緊急支援部隊を派遣することや、感染実態を正確に把握す るため強制調査できるよう権限強化することなど、拡大防止に向けた改善策を提言した。

 これを踏まえ同省は来年の通常国会に家畜伝染病予防法の改正案を提出する方針。

 今回は初動対応が遅れ、被害が広がったとみられることから国と宮崎県の連携不足を強調。特に県については予防措置などが不十分だったとして「自らの役割を十分に認識していなかったのではないか」と批判した。 中間報告では(1)獣医師や農家から県への連絡、県から国への連絡が非常に遅く、感染が拡大したのではないか(2)空港や港など「水際」での防疫措置が不十分−などと指摘した。

 今後の改善方向では国と自治体の役割分担を明確にし、国が責任を持って防疫方針を策定することを求めたほか、早期通報の徹底でルールを作り、遅れた場合にはペナルティーを科すことも検討すべきだとしている。 早期通報を強調して自治体に緊張感のある対処を促し、初期対応で万全を図るのが狙い。半面、国が対応を誤った際の責任追及には触れておらず“身内”に甘いとの批判も受けそうだ。

 委員会では国や宮崎県の担当者のほか、関係市町の首長らから発生当時の状況などについて聞き取り調査を実施。委員からは「口蹄疫の恐ろしさに対する関係者の認識が甘い」「国や県の連携が悪い」などと批判が上がっていた。

 2010/09/16 sankei.Biz http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100916/ecb1009160502000-n1.htm

口蹄疫:拡大「宮崎県に要因」 役割認識が不足−−農水省検証委

 宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)の防疫措置の在り方などについて、有識者らが検証する農林水産省の口蹄疫対策検証委員会(座長・山根義久 日本獣医師会会長)は15日、中間報告をまとめた。問題点として、国と都道府県・市町村の役割分担が不明確で連携不足だったと指摘し、宮崎県が役割を十分 に認識せず「対応は不十分なところが多かった」と批判した。委員会はさらに検証を進め、10月にも最終報告をまとめる。

 中間報告書は関係者へのヒアリングなどを基に、問題点と今後の改善案を併記した。

 改善案は防疫方針の策定・改定は国が行い、具体的措置は都道府県が中心に行うことを、役割分担の基本とすべきだとした。また、家畜防疫員による農 家への定期的な立ち入り検査▽早期通報のルールと従わずに遅れたペナルティー▽早期の殺処分・埋却が可能な作業マニュアル▽経済的補償を含む予防的殺処分 を家畜伝染病予防法に明記▽畜産経営規模の統制−−などの検討を提言した。

 一方、問題点では、宮崎県が農家の所在地、頭数などの情報収集をしていなかった▽獣医師・農家から家畜保健衛生所へ、衛生所・県から国への連絡が 非常に遅い▽早期の殺処分・埋却ができなかった−−ことを感染拡大要因と指摘。「県の試験場、家畜改良事業団などでも発生したことは問題」と批判した。

 国の対応については、農水省の専門家会議の開催頻度やワクチン接種の時期を問題視したほか、空港などでの水際対策の不十分さを指摘した。【佐藤浩】

 ◇「他と比べ対応劣っていない」−−東国原知事が反論

 中間報告について、東国原英夫知事は15日、「改善すべきところは改善しなければいけない」と述べる一方「他の都道府県と比べて著しく初期の対応や予防措置が劣っていたとは認めていない」と反論した。【石田宗久】 2010年9月16日毎日新聞 http://mainichi.jp/select/jiken/kouteieki/news/20100916ddm012040054000c.html

35戸が経営再開 宮崎市のワクチン接種農家

 宮崎市佐土原町で口蹄疫ワクチン接種後に家畜を殺処分された和牛繁殖農家35戸が15日、子牛72頭を導入して飼育を再開した。 発生地域、ワクチン接種地域における経営再開は日向市の一部農家に次ぐ早さで、経営再開の意思を示しているほかの農家でも随時導入される。

子牛は12、13日に開かれたJA宮崎中央家畜市場(宮崎市)の子牛競り市で購入し、JA関連施設に預けられていた。発生地域の清浄性を確認するため西 都、日向市、新富町の発生農家などに導入された観察牛の飼育が14日で2週間を経過したことから、子牛の引き渡しを始めた。

 2010年09月16日 宮崎日日新聞 http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=31128&catid=74&blogid=13

 

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